アーユルヴェーダで見るアトピー等を誘発する現代の食事

アーユルヴェーダでは食べ合わせを非常に重視し、不適切な組み合わせが消化不良や体内の毒素(アーマ)の蓄積、そして最終的に皮膚疾患を含むさまざまな病気の原因になると考えられています。

それは現代の栄養学から見た時には逆に推奨されるような組みあわせも含まれます。

解説を交えながら見ていきたいと思います。

アーユルヴェーダで一般的に避けるべきとされる食べ合わせの例

魚と乳製品 : この組み合わせは、消化を阻害し、血液を汚染すると考えられています。特に、牛乳と魚介類は消化の性質が全く異なるため、アグニ(消化の火)のバランスを崩し、アーマを生じやすいとされます。これにより、皮膚疾患やアレルギー反応を引き起こすとアーユルヴェーダではいわれています。

乳製品と酸味のある果物: 牛乳とレモンやオレンジなどの酸味の強い果物は、消化過程で牛乳を凝固させ、消化不良を引き起こします。これにより、消化の妨げとなり、アーマが生成されやすくなります。

牛乳と塩: この組み合わせは消化を遅らせ、血液を汚染するとされます。

牛乳と肉: 牛乳は消化に時間がかかり、肉もまた消化に負担がかかるため、この組み合わせは消化不良を引き起こしやすいとされます。

蜂蜜と加熱: 蜂蜜を加熱すると、その性質が変化し、体内で毒素に変わると考えられています。加熱した蜂蜜はアーマの生成を促進し、長期的に体質を悪化させるとされます。

蜂蜜とギー: 蜂蜜とギーを同量混ぜることは、体内で毒素を生成すると考えられています。加熱した蜂蜜はさらに悪いとされます。

ヨーグルトと肉や魚: ヨーグルトは消化に重く、肉や魚と合わせると消化不良を引き起こしやすくアーマの生成につながるといわれています。

生の野菜と調理済みの食事: 調理済みの温かい食事と生の野菜(サラダなど)を一緒に摂ると、消化の火のバランスが崩れやすいと考えられています。

豆類とチーズ: どちらも消化に時間がかかるため、組み合わせると消化器系に大きな負担をかけます。

果物と他の食品: 果物は消化が早いため、他の食品と一緒に摂ると、他の食品の消化を妨げ、かつ果物自体は消化の過程を過ぎて発酵やアーマの生成につながるとされます。特に、メロンは消化が非常に速いので、単独で摂るべきとされています。

大根やニンニクを食べたのち牛乳を飲むと皮膚病になるなどとも書かれています。

これらはアーユルヴェーダの古典(チャラカサンヒター スートラスターナ26章 健康を害する食事 の章にかかれているもののうち、現代の私たちの食事に当てはまるものを抜き出したものや、抽象化された概念を具体例にして書き出したものです。

原典には他にも孔雀の肉をヒマの串に刺して焼いて食べてはいけないとか、鶴の肉を豚肉の油でいためて食べると急死するなどの記述もあります。興味のある方は読んでみてください(*^-^*)

これはら、 ヴィルッダ・アーハラ(不適切な食べ合わせ)の概念に基づいています。

 古典書では、食物の性質(熱性、冷性など)の不一致が、消化の火(アグニ)を乱し、体内でアーマを生成するとされています。生の食品と調理済みの食品の組み合わせは、消化のスピードの不一致としてアーマの生成理由として数えられます。

現代栄養学では必ずしも有害と見なされるわけではありませんが、アーユルヴェーダでは個々の食品が持つエネルギーや消化特性(ヴィールヤ)の違いを重視します。これらの組み合わせが消化の火(アグニ)を乱し、体内のバランスを崩すことが、アトピーなどの皮膚疾患につながると考えられています。

ほかにも気を付けなければいけないことは厳密にいえばたくさんあります。

場所、時間、消化力、量、順応性(サートミヤ)、個々人のドーシャ、調理法、薬力源(ヴィールヤ)、腸の状態、健康状態、食事の順序、禁忌、好み・・・

などなど、気を付けるべきはたくさんあります。

しかし例えば、薬力源(ヴィールヤ)を合わせようと思っても、現代の食事が推奨するような30品目の食品の薬力を合わせるなど、現実的ではありません。

ですので、現代のアーユルヴェーダ実践者たちは、この点をよく理解していますので、完璧を求めるのではなく、「意識」と「バランス」を重視する考え方を推奨しています。

現代におけるアプローチ

最も有害な組み合わせを避ける:

すべての法則を守るのが難しいと分かっているからこそ、特に有害とされる組み合わせを避けることに焦点を当てます。

例えば、牛乳と魚、加熱した蜂蜜、メロンと他の食品など、消化に大きな負担をかける組み合わせは意識して避けます。

問題は「組み合わせ」や食べ方であり、一つ一つの素材ではありませんが、不適切な食事の組み合わせには「牛乳」が多いことに気がつくでしょう。

牛乳はアーユルヴェーダでは完全食品といっても良いくらい人体にとって有益なものです。ですが、完全であるがゆえに、他のものと組み合わせると、むしろ毒・・・ということが多い食品です。また、消化力に合わせて、温めたり量を調整することが大切な食品でもあります。 もしかして冷たい牛乳を冷蔵庫から出して、そのままごくごく飲んだりしていませんか?ψ(`∇´)ψ

今、思い出してみれば、高度経済成長期以降の日本では、学校給食では、(肉か魚が含まれる)温かいおかずと、冷たい牛乳と果物と、乾燥性を持ったパン、そして、油性を持ったマーガリン(しかも当時のマーガリンにはトランス脂肪酸が非常に多く含まれていた)ものが定番でした。それを大きな男の子も食の細い女の子も基本的には同量を残さず食べなければいけませんでした。 

これは、温度の不一致だけでなく、消化時間の不一致、順応性の不一致(もともと日本の伝統的な食べ方ではないということ)ドーシャの不一致にあたり、 牛乳と肉、魚、塩分、果物、という組み合わせの不一致 になります。

 アーユルヴェーダ的に見た時には、皮膚疾患を誘発する食べ方のお手本のような食べ方です。

また最近では四毒抜きという食べ方が健康志向の高い人の中でいわれているようです。

これは、小麦、植物油、乳製品、甘いもの がそうですが、アーユルヴェーダの古典書で見た時には、いずれも有益な食品たちです。

ですが、現代私たちは、例えば小麦なら、粉にして水分を加えて練ってからつくったパンや麺類で小麦をとることがほとんどですよね。 これは消化力を必要とする「重い食べ物」です。また、きっとこれだけで食べることはなく、魚介の入ったクリームパスタになったり、重性の強いハンバーグが挟まれたパンになっていたり、ミルクと一緒にいちごジャムを塗ったトーストになったりしています。

これらはいずれも、アーマを増やす食べ方でしたね。 甘いものも消化に重い「土」と「水」の元素から生まれる味ですから、消化力の高い時に量を調整して食べないとアーマを作ってしまいます。

つまり、それ自体はいいものだけど、現代の私たちの食事の仕方では毒素を生む原因になりやすいものたちといえるでしょう。

私は、農業を生業とするものなので、農産物であるこれらのものを「毒」と呼ぶのには非常に抵抗があって、受け入れがたいので、4毒のものたちはそれ自体が毒なのではなく、食べ方を私たちが間違えているから、体内で毒素を作ってしまうのだと ここで強く主張しておきたいです。

別の表現をするなら、食べ方を丁寧にすれば、これらは決して毒ではなく有益な食品です。と。言いたいと思います。

さて、誤った食品の組み合わせは皮膚疾患の原因になると古典書にはありますが、

このような食事をとるようになった1960年代の日本ではアトピーはどのくらいあったかと調べてみようとしたとき、アトピー性皮膚炎という概念自体がまだ専門医以外では浸透しておらず、具体的な患者数の割合を示す全国規模の調査記録はほとんどありませんでした。

ですが1970年代から1980年代初頭にかけては1~3%、1990年代になると6~7%、2000年代以降になると、10~13%です。

アトピーは複雑な要素が絡まった複合的な疾患ですから、この一点にのみを原因だと特定することはできませんが、大きな要因の一つであることは諸外国との比較から見てもほぼ間違いないと思われます。

さて、厳密にいえば難しい食事の法則ですが、簡単に解決する方法もあります。

それは

消化力(アグニ)を強く保つことです。

消化の火(アグニ)が強ければ、少々の不適切な食べ合わせでも、体内でアーマ(未消化物)が生成されにくくなります。

そのため、食事の量を控えめにしたり、消化を助けるスパイスを積極的に使ったりすることで、アグニを強く保つことを優先します。

また運動選手や肉体労働をする人はアグニの力が強まるので、結構何をどのように食べても大丈夫なことが多いです。体を動かす習慣を取り入れましょう。

ほかにも、

個々の体質(プラクリティ)に合わせる

現代のアーユルヴェーダでは、個人の体質(ドーシャのバランス)に合わせて食事を調整することが重要だと考えます。例えば、元々アグニが強いピッタ体質の人は、多少の不適切な組み合わせでも問題なく消化できる場合があります。ただ、ドーシャの乱れには気を付けてくださいね。

「感覚」を養う:

自分の体が食べたものにどう反応するかを観察することを勧めます。食後に体が重い、ガスがたまる、気分が優れないなどの症状があれば、その食べ合わせが自分にとって不適切であったと判断し、次に活かします。

これらのアプローチは、アーユルヴェーダの原則を日常生活に無理なく取り入れ、完璧でなくても健康を維持することを目的としています。

以上参考になりましたら幸いです。