ギムネマ
日本では、ダイエットサプリメントとして有名なギムネマ。
その学名であるGymnema はヒンディー語のGurmar から来ています。
その意味は 「糖を破壊するもの」。
世界中でダイエットサプリの原料として非常に人気の理由が この名前からだけでもわかります。でも、アーユルヴェーダでの使われ方はもっと奥が深いです。
もう少し詳しく見てみましょう。
学名 Gymnema sylvestre(ギムネマシルベスタ)
和名 ホウライアオカズラ
アーユルヴェーダ名 メーシャシュリンギ(葉はヤギの角に似ている)meshasringi
マドゥナシ二(甘い味を破壊するもの)madhunashini
ビシャーニ(毒を打ち消すもの)
ラサ 渋み 苦味
グナ 軽性 乾燥性
ヴィールヤ 熱性
ビパーカ 辛味
ドーシャへの影響 K↓ P↓
使用部位 葉 根
まず、第一にギムネマといえば、糖の吸収を抑制することによって、ダイエットや糖尿病に良いハーブとして有名ですが、その話はあとでゆっくりするとして、まずはその他の項目についてみてみましょう。
このハーブは 呼吸器系の問題、潰瘍、目の痛みに非常に有効なハーブといわれています。
消化器系においては 肝臓の作用を促進し、ブドウ糖の代謝に必要な膵臓を刺激して、インスリンの産出を促進します。また、ランゲルハンス島*の細胞再生を促進するという報告もあります。
(ランゲルハンス島)については、この記事がとても面白いです。
https://www.terumo.co.jp/challengers/challengers/13.html
循環器系においては心臓の健康を維持し、血糖値の調整。
呼吸器系では、気道から蓄積したカパ(粘液)を取り除くのに役立ち有益とされます。
泌尿器系では利尿作用があるため、尿路感染症や腎臓の問題に効果的といわれています。
また、全身の灼熱感、目や胃などの局所的な灼熱感の軽減。
肝臓、すい臓、脾臓、皮膚などの炎症、腫れを軽減する。
止血作用を有するので、月経過多・鼻血・痔核などの出血障害、潰瘍と傷の治療を促進。
LDLコレステロール値を下げる。
などといわれています。
創薬のために現代医学の手法を用いて行われた実験では
心血管疾患、喘息、癌、糖尿病、肥満などの主要な病気に対して有用で、関節炎、利尿剤、貧血、骨粗鬆症、高コレステロール血症、心臓病、喘息、便秘、微生物感染症、消化不良、
そして抗炎症剤として有効であると報告されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6830388/#B123
では、ダイエットや血糖値の抑制という、このハーブの最大のメリットについてみてみましょう。
ギムネマは一瞬にして、その効果を感じさせることができる めずらしいハーブの一つです。
まず、ギムネマを少し口にいれます。 それはすぐに水などで飲んでしまって構いません。
(生葉なら、少しかじって、吐き出してもOKです。)
次に、チョコレートなどの甘いものを食べてみてください。
甘味をすでに感じなくなっています。( ゚Д゚)
もだま工房の畑に来てくださった方たちは、この実験をしてハーブの面白さを感じてもらってます。(*^-^*)
これはギムネマ酸という有効成分の働きによって、味蕾の糖受容体がブロックされ糖の吸収が抑制されることによって起きる現象です。
こんなにもすぐに糖の吸収が抑制されるの!? と、びっくりすることでしょう。
そして、この効果は舌だけではありません。
この働きは小腸などの腸管でも起きているので、食事に含まれる糖分の吸収が抑制され、
吸収されなかった糖分は体外に排出されることになるのでダイエットに効果的といわれています。
また、この甘みに対する感受性の低下のせいか、他の何らかの理由によるものなのか、
甘味への欲求がギムネマを取ることによって低下し、食事制限に成功しやすくなったというレポートがあります。
なので、ギムネマは日本ではよくお茶として販売されていますが、この甘味を感じさせなくする効果があるので、他の食事と一緒に飲むと、食事がおいしく感じないかもしれないです。ですので、外国ではパウダーにして、さっと飲み込んでしまうことの方が多いようですから、もだま工房ではパウダーとして販売しています。 パウダーといっても、原料は葉っぱですから、お茶にして飲みたい方はお湯を注いで召し上がることも可能です(*^-^*)
数多くあるダイエットサプリなどでもギムネマ由来のダイエットサプリメントは効果を実感したという消費者レビューが多いのは、こうした作用機序がしっかりわかっているからでしょう。
また、食事をとると、血糖値が上がり、すい臓からインスリンが分泌されます。このインスリンの働きによって、余分な血糖は筋肉細胞や脂肪組織に取り込まれ、過剰になると中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられます。
しかし、ギムネマによって糖の吸収が抑制されていれば、このプロセスを穏やかにすることができます。
糖尿病の場合にはインスリンがすこしづつしか分泌されないため血液中のブドウ糖が処理されず、食事の後に血糖が急激に上昇、高血糖を起こしてしまいます。
ギムネマを摂ると食後の急激な血糖値の上昇を防ぐので、すい臓のインスリン分泌の負担を減らすことができるのです。
次のような研究によりギムネマの効果が示されています。
・正常ラットを用いた実験では、ギムネマを与えることで血糖値の上昇が抑えられ、インスリン分泌が緩やかになった。
・糖尿病を発症したラットに対して32~35日間ギムネマを投与した研究でも、血糖値の上昇の抑制とインスリン分泌量の低下が報告されている。
したがって、糖尿病の場合、ギムネマによって食後の過血糖を抑えると、膵臓への負担を軽くするので、血糖コントロールの改善に役立つと考えられる。
飲み方としては
糖尿病や肥満の予防には生活習慣の改善が最優先されます。その上で、ギムネマを補助的に利用するのが好ましいでしょう。
ギムネマは、食事に含まれる糖質の吸収を遅らせるため、食事の前に服用するのが効果的です。
また、ターメリック・ゴーヤ・フェヌグリーク種子・黒コショウとの組み合わせは、より効果的といわれますが、ギムネマ単体でも構いません。
葉の粉末なら 普通の水で3~6gくらいというものもあれば、牛乳、またはハチミツとともに1~2gの粉末を飲むのが糖尿病には有益で、それを空腹時に(食事の前にという意味でしょう) というものもあります。
これは様々な実験がされている中で被験者にどのように投与したか、ということをあらわしているもので、この飲み方が正しいと決まったものではないと思われます。
一回300mgから3gくらいの間を食事に合わせて飲むというのが一般的なようです。
少ない量からはじめて自身の体に合っているか様子を見、4gまで増やす。という方法を進めている先生もいました。
食事の前に小腸に届いていた方が有効なので、食事の直前に飲むのが本当はより効果的だと思われますが、ギムネマは味覚にも作用し、甘味を感じなくなるので食事がつまらなくなるかもしれません。
実際にある実験では食欲か過剰な被験者にギムネマを飲んでもらうことによって、甘い食べ物への欲求が低減し、食事制限に成功できる確率が高まったというレポートもあります。
ですので、食事をきちんと楽しみたい方は食事のすぐ後に飲むことをお勧めしたいと思います。
いや、多少食事の甘味が感じられなくてもいいから、効率的に効果を実感したいというときには食前に飲まれるのがいいかと思います。
また、一般的に夜にはエネルギーとしての糖分の摂取は必要がありませんから夕食時にだけギムネマを飲むというのもいいかもしれません。
皆さんのそれぞれのライフスタイルと健康にあわせて、召し上がってみてください。
ギムネマの持つ LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール) と トリグリセリド(中性脂肪)を下げる効果について
いくつかレポートを紹介します。
高脂肪食を摂取しているラットを対象とした研究では、ギムネマ抽出物が体重維持を助け、肝臓脂肪の蓄積を抑制しました。
また、脂質代謝の広い範囲に影響を与えることで血清コレステロールとトリグリセリドのレベルを改善することが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11411567/
別の研究では、ギムネマ抽出物が高脂肪食を与えられた動物に抗肥満効果があることがわかりました。
また、血中脂肪とLDLコレステロールレベルを低下させました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23842942/
中程度の肥満の人々を対象とした研究では、ギムネマ抽出物がトリグリセリドと「悪玉」LDLコレステロールをそれぞれ20.2%と19%減少させることが示されました。さらに、それは「善玉」HDLコレステロールレベルを22%増加させました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15056124/
高レベルの「悪玉」LDLコレステロールとトリグリセリドは心臓病の危険因子です。
したがって、LDLおよびトリグリセリドレベルに対するギムネマのプラスの効果は、
心臓病のリスクの低下に寄与する可能性があります
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24166097/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3912882/
などなど、多くの研究がされています。
注意事項
ギムネマの服用開始後、腹部膨満感(おなかが張った感じ)や、おならが出やすくなるなどの胃腸症状が認められることがあるそうです。多くの場合、1カ月ほどで消失するようです。また、やや便がやわらかくなって、(下痢をするほどではないです。)量が増えるようです。
一般的には特に問題となる健康被害や副作用は知られていません。
ただし、糖尿病で治療中の場合、ギムネマの効果によって、薬の必要量が変化するかもしれません。インスリン依存の糖尿病の場合は、低血糖の管理を十分に行う必要があります。
したがって、糖尿病をお持ちの方は、必ず主治医に相談の上、利用してください。
妊娠中、授乳中、または妊娠を計画している女性はやめておきましょう。
アスピリンやセントジョンズワートと一緒に服用しないでください。
ギムネマの血糖値を下げる効果が高まる可能性があります。(低血糖のリスク)