ポルパラ

神聖なる薬草「ポルパラ」

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インドやスリランカの乾燥した大地にひっそりと根を張る多年草、ポルパラ。(学名Aerva lanata)。じつは もだま工房でも数年前からひっそり栽培していました。(笑)

なぜひっそりかといえば、種がめちゃくちゃ小さくて、その採取が難しく安定的な世代交代が難しかったからです。

この控えめな植物は、開花期に植物全体が白い小さな花に覆われ、その独特の風貌は初めてこの植物を見る人でさえ、その植物がただものではないと気がつくほどです。

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 そしてそれは現代の科学がその多岐にわたる効能を解き明かすより はるか昔から、人々の心と体に寄り添い、貴重な薬草として、そして神聖な存在として崇められてきました。

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ポルパラは、古来より人々に「神聖な植物」として信じられ、邪悪なエネルギーを払い、幸運をもたらすと言い伝えられてきました。悪霊を追い払い、家や人々を守る力を持つと信じられています。家の入り口や庭に植えたり、乾燥させた葉を家の軒先に吊るす習慣が今でもスリランカや南インドでは見ることができます。

ポルパラはサンスクリット名を「ゴラクシャガンジャ」といいますが、その名前は、「ゴーラクシャナータの植物」を意味します。これは、ヨーガの聖者として知られるゴーラクシャナータが、その効能を見出し、使用したことに由来するとされています。この名前一つからも、ポルパラが神々の恩寵や偉大な聖者の知恵と結びついた、特別な存在であることがわかります。

また別の説ではGoraksha(ゴラクシャ)の「ゴー(Go)」は「牛」を意味し、「ラクシャ(Raksha)」は「守護者」を意味します。直訳すると「牛の守護者」となります。これは、ヒンドゥー教の重要な神であるシヴァ神や、牛飼いの少年として知られるクリシュナ神の別名でもあります。そしてGanja(ガンジャは一般的に「大麻」を指すことが多いですが、ここでは「乾燥した植物」や「植物の塊」といったより広い意味で使われています。
このことから「牛の守護者」である「神様に捧げるための植物」として神聖な儀式や信仰の対象であったことを示しています。

アーユルヴェーダに伝承される力

アエルバ・ラナタの薬効は、アーユルヴェーダにおいて高く評価されています。

アーユルヴェーダの薬草学では、ポルパラは以下のような性質と作用を持つとされています。
ラサ(味): ティクタ(苦味)とカシャヤ(渋味)
グナ(性質): ラグ(軽い)とルクシャ(乾燥した)
ヴィールヤ(効力): ウシュナ(温性)
ヴィパーカ(消化後の味): カトゥ(辛味)
ドーシャへの影響(ドーシャグナタ): カパとヴァータを鎮める作用(カパヴァータハラ)

プラヴァーバ(特別な作用): アシュマリー・ベーダナ(結石を破壊する作用)

これらの性質から、体内の余分な水分や粘液を排出し、新陳代謝を促進する効果があるとされます。

中でも特筆すべきは、その「プラヴァーバ(特別な作用)」です。アエルバ・ラナタは、その利尿作用をはるかに超えた「アシュマリー・ベーダナ(結石を破壊する作用)」を持つとされます。これは、尿路結石に苦しむ人々にとって、古くから救いとなってきた特別な力です。

現代科学が裏付ける多彩な効能
アエルバ・ラナタの古くからの知恵は、現代の研究によっても裏付けられつつあります。その主な薬効は多岐にわたり、以下のような魅力に満ちています。

優れた利尿作用と尿路結石の予防・改善: アーユルヴェーダの記述通り、体内の老廃物を効率的に排出し、結石の形成を抑制する効果が期待できます。

抗炎症・抗酸化作用: 体内の炎症を抑え、細胞を酸化ストレスから守ることで、若々しさと健康を維持するのを助けます。

血糖値・血圧のコントロール: 血糖値や血圧の上昇を穏やかにする作用が研究されており、生活習慣病の予防にも役立つ可能性があります。

肝機能の保護とデトックス: 肝臓の解毒機能をサポートし、体内の毒素を排出するデトックス効果が期待できます。

免疫上の利点: 免疫細胞を活性化させ、病気から体を守る力を高めます。

現代医学による論文

ポルポラは学名アエルバ・ラナタ(Aerva lanata)といいますが、その名前で論文検索をすれば膨大な数と種類の研究を読むことができます。一部を紹介します。

利尿作用、尿路結石の予防・改善

Aerva lanata:植物化学と薬理学的側面に関するレビュー

アエルヴァ・ラナータのレビュー:薬効の道

Aerva lanata:医薬品および食品産業の包括的なプロフィール

抗炎症作用、鎮痛作用

Aerva lanata (L.) Juss から得られたフェノール酸分画の抗酸化作用、抗炎症作用、抗糖尿病作用

卵白誘発アレルギー性喘息マウスにおけるアエルヴァ・ラナタの免疫調節および抗炎症効果

Aerva lanata (L.) Juss. ex Schult の栄養補助食品としての潜在能力は、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットの二次的合併症を改善する

Aerva lanata (L.) Juss. ex Schult. Stem (ヒユ科)の植物化学組成と水抽出物のin vitro抗酸化活性

血糖値、血圧のコントロール
抗糖尿病作用を持つアエルバラナタの薬理学的評価

肝機能の保護

ラットにおけるパラセタモール誘発肝毒性に対するAerva lanata Linn.の肝保護活性

アエルヴァ・ラナタのエタノール抽出物によるアセトアミノフェン誘発性細胞障害からのラット肝細胞保護機構

抗菌・抗真菌作用

Rajeswari, M., Umamaheswari, S., & Muthukumar, K. (2012). Antibacterial and antifungal activities of Aerva lanata (Linn.) Juss. ex Schult. Asian Pacific Journal of Tropical Biomedicine, 2(3 Suppl), S1406-S1410.

抗がん作用

アエルヴァ・ラナタエタノール抽出物の免疫調節および抗腫瘍活性

ダルトン腹水リンパ腫に対するAerva lanata Linn Juss ex Schultの地上部の抗癌活性

Aerva lanata (L.) Juss. Ex Schult.の葉および葉由来カルス抽出物のヒト乳がん細胞株(MCF-7)に対する抗増殖および抗酸化活性