万病に効くハーブの話 その1
沖縄の古い古い薬草の資料などを見ていると、ときどき、「万病に効く」といった男らしい表記にであって一人ニヤニヤしてしまいます。
そんなものあるわけないじゃんと思っていたんだけど
確かに万病に効くと言ってもいいのかも・・・と思うようになってきました。
漢方の代表的な病理思想として「気血水説」というものがあります。
これは吉益南涯 (よします なんがい )という人が唱えたもので人には、気(体内の見えない活力)、血、水(血液以外の体液)の三つの要素があり、そのバランスが崩れ、毒が加わると初めて証(症状)が現れるという説です。
これはとてもアーユルヴェーダに似ていますね。
では、ここでいう「毒」というのは何か? ということですが、これは南涯の父 吉益東洞(とうどう)(1702~1773)の 万病一毒説に、その答えがあります。
東堂は
「万病は、ただ、一つの毒が原因である。その毒のありかを見て治療をすればよいのであって、あえて、病気の原因など論ずる必要はない。
その毒というのは食べもが口に入って、消化されずに滞留するときに、なるものである。
百病は、これによって罹り、様々な症状は、これによって出てくる。外邪(病気になる外因性のもの)が襲い来ても、この毒を持っていなければ病気になることはない。」
と考えました。
一方 橋本伯寿は『断毒論』の中で伝染病という名称を記し、この説を否定します。
伝染病のように、毒にはいろんな毒があって、いろんな病気の原因があるのだといいます。
これは、西洋のパスツールとベルナールの論争とちょっと似ていて、面白いと思うので、それも紹介しますね。
パスツールはフランスの細菌学者で、結核やコレラなど当時猛威を奮った感染症の原因は「菌」によるものであると主張しました。
コレラ菌を発見したドイツの細菌学者コッホなども同じ説を唱えました。
これに異を唱えたのがフランスの生理学者のベルナールです。ベルナールの主張は「内部環境説」で、
「結核やコレラにかかるのは菌が悪いわけでない。体の中のバランスが崩れていることに問題がある。菌は本来私たちの健康を助けてくれるもので、不健康を続け体力が衰えた時に病的になる。全ての病気は私たちの体の健康状態で決まるものだ。だから、すべてを細菌のせいにするのは間違いだ。」
と主張しました。
ドイツの衛生学者のペッテンコーファーもベルナールと同じように
「菌でなく、菌に侵されてしまう体に問題がある」と主張し(人体環境要因説)、コッホが培養した致死量を大幅に超えるコレラ菌を飲んでみせて、論争の決着を図ろうとしたそうです。
結果、彼は下痢をしただけで死ぬことはなかったそうですが、それによって、
人体環境要因説の正しさが証明されたかと言えば、
「(大丈夫だと)信じるってすごいね♡」
といわれるだけで、まじめに取り扱われることもなく不遇の人生を歩んだそうです。
そして、現代の医学では病気の原因は感染説が主流となるわけですが、どんな強力な感染症が流行ってもやっぱり症状が出ない人、重症化しない人がいるのは、もう議論の余地がない事実です。
と、するなら、ベルナールや吉益東洞が主張した、身体内の環境を整えるものが、やはり大切なわけです。
私たちは極論に走ることなく両方の説を上手に頂けばいいわけですが、ここで話は元に戻ります。
万病が一つの毒に起因しているのなら、この毒に対して効果的なものは、万病に効果的なわけです。そして、その毒はアーユルヴェーダでいうところのアーマと言っていいでしょう。
私は沖縄で万病に効くといわれた植物をリスト化してみたのですが、そこで言われているハーブたちに共通するのが、他の文献では便通(腸内細菌叢)を整え、血液浄化作用があって、体内から余分な熱を取り去るといわれているものたちで、アーユルヴェーダ的にいうならアーマを取り去る力がありそうなものばかり。
時代と場所は違えども、こういうところにたどりついた先人の努力と知恵を思うと、人間ってすごいって感動してます。
さて、その植物たちですが、誤解を招くかもしれないので、ここでは公表しません♪
効果的ではあっても、別にそれだけ飲めばすべて解決という言わけではないからです(*^-^*) 万病に効くハーブの話 その2