自分の体質を知ろう。ドーシャチェック表
プラクリティとヴィクリティは、アーユルヴェーダで最も重要な2つの概念です。簡単に言うと、その関係は以下のようになります。
プラクリティとヴィクリティの関係
プラクリティは、生まれ持った体質のことです。受精の瞬間に決まり、生涯変わらないとされています。これはその人の本来のバランスであり、個性そのものです。たとえば、「私は生まれつきヴァータとピッタの性質が強い」といったように、遺伝的に決まった傾向を指します。
ヴィクリティは、現在の心身の状態のことです。日々の食事や生活習慣、ストレス、季節の変化などによって常に変動します。これは本来の体質（プラクリティ）からどれだけドーシャのバランスが崩れているかを示しています。
簡単に言えば、プラクリティは「あなたの本来の姿」であり、ヴィクリティは「現在のあなたの状態」です。健康な状態とは、ヴィクリティがプラクリティに近い状態を指します。
これを知ることで得られるメリット
プラクリティとヴィクリティの関係を理解することは、あなたの健康管理において非常に役立ちます。
１体調不良の原因がわかる
現在の不調（ヴィクリティ）が、本来の体質（プラクリティ）の どのドーシャと関係しているかが分かります。プラクリティはコップに例えられます。カファのコップは大きく、ピッタは中くらい、ヴァータは小さめとイメージしてください。その中にちょうどいいくらい水が入っていて安定していれば健康だと思ってください。あふれてしまったら病気になると思ってください。カファのコップは大きいので、不安定な性質のヴァータをいれてもあふれることはなくちょうどいいくらいになります。小さなコップのヴァータには安定した性質のカファを入れると落ち着きますが、量を摂りすぎるとすぐにあふれてしまいます。ヴァータの小さなコップに不安定な性質のヴァータを入れても、すぐにこぼれそうですよね。カパの大きなコップにカパがあふれるくらい入ってしまったら、重くて動かすのが大変です。
なので、何をしたことで（食べたことで）体調が乱れたのか理解しやすくなります。
2最適な健康法を見つけられる
本来の体質（プラクリティ）を知ることで、自分にとって最適な食事や運動、ライフスタイルが分かります。たとえば、生まれつきヴァータ体質であれば、冷たい飲み物や生野菜を避けるといった具体的な対策が立てられます。また、現在の不調（ヴィクリティ）を把握すれば、その乱れを鎮めるためのケアができます。
3自己理解が深まる
自分の性格や行動パターン、ストレスの感じ方などが、どのドーシャの傾向によるものかが分かります。これにより、他人と比較することなく、ありのままの自分を受け入れ、より自分らしく生きるためのヒントが得られます。
つまり、この2つの概念を理解することは、一時的な不調を改善するだけでなく、将来の病気を未然に防ぎ、自分らしい健康的な生活を送るための羅針盤になるのです。
アーユルヴェーダ ドーシャ診断表（日本人向け）
この診断は、ご自身のドーシャ（心身のエネルギー）のバランスを読み解くためのツールです。単純な点数で判断するのではなく、以下のポイントを参考に、ご自身の傾向を読み取ってください。
１ 最も当てはまる項目が多いドーシャを探す
まずは、現在のあなたに最も当てはまる項目が多いドーシャを一つ選んでみましょう。それが、現在のあなたのヴィクリティ（乱れたドーシャ）である可能性が高いです。
2 幼少期に最も当てはまる項目が多いドーシャを探す
次に、幼少期の質問を振り返り、最も当てはまる項目が多いドーシャを選びます。それが、あなたのプラクリティ（本来の体質）である可能性が高いです。
3 ヴァータ、ピッタ、カファのバランスを見る
チェックをつけた項目全体を眺めてみましょう。複数のドーシャにチェックが多くついている場合、あなたは複合体質（例：ヴァータ・ピッタ体質 ピッタ・カファ体質など）である可能性が高いです。また、あるドーシャの項目にチェックが全くつかない場合も、それがあなたの体質にとって弱い部分であると読み取ることができます。
この診断は、あくまでご自身を深く理解するためのきっかけです。ご自身の傾向が分かったら、それぞれのドーシャの性質をさらに調べてみると、より自分に合った生活習慣や食事を見つけるヒントになります。
では、紙と鉛筆を用意して、正の字を書きながらチェックしてみましょう(*^-^*)
ヴァータ（風のエネルギー）
身体的特徴
痩せ型で、体重が増えにくい。
骨や関節が細く、ポキポキと鳴りやすい。
寒さに弱く、手足が冷えやすい。
肌が乾燥しやすく、カサつきがち。
髪の毛は細く、縮れ毛やパサつきがある。
目の形は小さめで、動きが速く、ドライアイになりやすい。
まつ毛は短く、細い。
鼻は細く、高い。
便秘になりやすい、または便通が不規則。
食欲にムラがあり、少量しか食べられないことがある。
睡眠が浅く、寝つきが悪いことがある。
精神的・行動的特徴
創造的で、新しいアイデアが次々湧いてくる。
移り気で、飽きっぽい。
不安を感じやすく、心配性。
人との会話は活発で、話すのが速い。
一つの場所にじっとしているのが苦手で、動き回るのが好き。
想像力が豊かで、空想にふけることが多い。
優柔不断で、物事を決めるのに時間がかかる。
変化を好むが、慣れない環境ではすぐに疲れてしまう。
出やすい不調
神経系の不調（不眠、不安、神経過敏）。
関節の痛み（チクチク、鋭い痛み、痛みが移動する）。
便秘。
乾燥やストレスによる喘息・アレルギー。
気象の変化による体調不良。
ピッタ（火のエネルギー）
身体的特徴
中肉中背で、筋肉がつきやすい。
暑さに弱く、汗をかきやすい。
肌に赤みが出やすく、ニキビや湿疹ができやすい。
髪の毛は細く柔らかく、白髪や抜け毛になりやすい。
目の形は鋭く、光に敏感で、充血しやすい。
まつ毛は中くらいの長さ。
鼻は先がとがった形。
消化が良く、空腹を感じやすい。
大便は軟らかい傾向にある。
喉が渇きやすく、冷たい飲み物を好む。
精神的・行動的特徴
決断力があり、リーダーシップを発揮する。
完璧主義で、負けず嫌い。
怒りやイライラを感じやすい。
論理的で、物事を分析するのが得意。
計画を立てて行動し、目標達成のために努力を惜しまない。
知的探求心が旺盛で、知識を深めるのが好き。
批判的になりやすく、相手の欠点に目がいきがち。
公平を重んじるが、感情的になると攻撃的になることがある。
口論になると、相手を徹底的に言い負かそうとする。
出やすい不調
消化器系の不調（胃酸過多、胸やけ、下痢）。
炎症性の皮膚疾患（湿疹、じんましん）。
イライラや怒りっぽい感情。
高血圧。
眼の疲れや充血。
カファ（水のエネルギー）
身体的特徴
がっしりとした体格で、体重が増えやすい。
寒さや湿気に強い。
肌がなめらかで、しっとりしている。
髪の毛は太く、ツヤがある。
目の形は大きく、魅力的で、まつ毛が長く、太い。
鼻は丸みを帯び、低い傾向にある。
消化がゆっくりで、あまり空腹を感じない。
大便は硬く、量が多い傾向にある。
むくみやすく、水分をため込みやすい。
身体の動きがゆっくりで、朝起きるのが苦手。
精神的・行動的特徴
穏やかで、落ち着いている。
変化を好まず、同じことを繰り返すのが好き。
人の気持ちを察するのが得意で、共感性が高い。
物事をじっくりと考える。
覚えるまでに時間はかかるが、一度覚えたことは忘れにくい。
用心深く、新しい行動を起こすまでに時間がかかる。
物や人への執着心が強い。
愛情深く、寛容だが、一度心を閉ざすと頑固になりやすい。
出やすい不調
呼吸器系の不調（鼻水、痰、花粉症、風邪）。
体重の増加や肥満。
むくみ。
気分が沈みやすい。
関節の痛み（重く、鈍い、朝のこわばり）。
湿性（粘液性）の喘息やアレルギー。
幼少期のドーシャを診断する質問
以下の質問を、ご自身の子供の頃の記憶と照らし合わせて考えてみてください。
ヴァータ（風のエネルギー）
体格・身体
子供の頃から痩せ型で、なかなか体重が増えませんでしたか？
よく風邪をひいたり、季節の変わり目に体調を崩したりしましたか？
食事にムラがあり、少量しか食べられないことが多かったですか？
怪我をすると、なかなか治りにくかったですか？
精神・行動
好奇心旺盛で、色々な遊びに手を出してはすぐに飽きていましたか？
おしゃべりが好きで、話すスピードが速かったですか？
想像力豊かで、空想の世界で遊ぶのが好きでしたか？
新しい環境では、ソワソワしたり、落ち着きがなかったりしましたか？
怖がりで、夜眠れないことがありましたか？
新しいおもちゃを買っても、すぐに飽きたり壊したりしませんでしたか？
周りの雰囲気を察して、空気を読むのが得意でしたか？
ピッタ（火のエネルギー）
体格・身体
平均よりも丈夫で、活発な子供でしたか？
よく熱を出したり、発疹やあせもができたりしましたか？
お腹をすかせて、食事の時間が待ちきれませんでしたか？
汗っかきで、暑いのが苦手でしたか？
怪我をすると、赤く腫れたり、熱を持ったりしましたか？
精神・行動
競争心が強く、かけっこやゲームでは負けず嫌いでしたか？
誰かのリーダーになったり、仕切りたがったりしましたか？
知的で、なぜ？どうして？と質問することが多かったですか？
目標を決めると、一生懸命に努力するタイプでしたか？
怒りっぽかったり、かんしゃくを起こしたりすることがありましたか？
おもちゃをバラバラに分解したり、作り替えるのが好きでしたか？
自分の意見をはっきりと主張する子供でしたか？
カファ（水のエネルギー）
体格・身体
ふっくらとしていて、健康的な体つきでしたか？
寒さに強く、雪の中で遊ぶのが好きでしたか？
喉や鼻が弱く、風邪をひくと鼻水や痰が出やすい子供でしたか？
朝起きるのが苦手で、なかなかベッドから出られませんでしたか？
怪我をしても、傷の治りが速いけれど、傷跡が残りやすかったですか？
傷口が膿みやすい傾向がありましたか？
精神・行動
おっとりしていて、周りからは「のんびり屋さん」と言われることがありましたか？
人見知りをしましたが、一度仲良くなるとずっとその友達と遊ぶタイプでしたか？
変化を嫌い、慣れた場所や日課を好みましたか？
穏やかで、周りの子供たちをなだめる役割を果たすことがありましたか？
覚えるまでに時間はかかりましたが、一度覚えたことは忘れなかったですか？
おもちゃを大切に扱い、同じもので長く遊んでいましたか？
準備が遅いとよく言われましたか？
この診断表が、あなたのアーユルヴェーダ実践の一歩になれば嬉しいです。