キダチコミカンソウ(ブミアーマラキー)
きだちこみかんそう   チャンカピエドラ

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キダチコミカンソウ 

学名 Phyllanthus niruri

インド名 Bhumyamlaki(ブーミアーマラキー)

別名 Chanca piedra(チャンカピエドラ)

Bhumyamlaki(ブーミアーマラキー)=キダチコミカンソウは、世界中の熱帯地域で見られる高さ30~40cmの小さな一年草です。
日本では沖縄以南に帰化しているといわれています。

残念なことに現在沖縄本島では、確認されていません。沖縄本島ではすでに滅んでしまった?とも考えられています。

しかし、石垣島では、とても多く見ることができます。
石垣島には近縁種であるコミカンソウ、ナガエコミカンソウと、このキダチコミカンソウの3種が生育していますが、見分けるのはちょっと難しいです。

さて、このキダチコミカンソウ。
海外では主にChanca piedra(チャンカピエドラ)と呼ばれ、とても人気のあるハーブ。

チャンカピエドラは、スペイン語で「石を砕くもの」の意味で、アマゾン先住民が胆石や腎結石の治療に使っていたことに由来します。特に腎臓結石の治療や症状の改善に良いメディカルハーブとして、世界中の熱帯地域で伝統的に使われ、とても大切にされてきました。
英語名でも「stonebreaker」という呼び名もあります。

しかし、アーユルヴェーダと近年の研究では、キダチコミカンソウの有用性は、これだけにとどまりません。

アーユルヴェーダでは、その姿からBhumyamlaki(ブーミアーマラキー)=「地面にあるアムラの木」とよばれ、肝臓庇護作用や、結石を排出するものとして、高く評価されています。

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以下にアーユルヴェーダにおける作用と近年の研究について詳しく紹介していきましょう。

薬用部位 地上部の全草および根
グナ 乾燥性 軽性
ラサ 苦味 渋味 甘味
ヴィールヤ 冷性
ヴィパーカ 甘味

ドーシャへの影響 VPK=

作用するダートゥ ラサ・ラクタ・メーダ・アスティ・シュクラ

作用 抗ウイルス作用・利尿・体質改善・胆汁排出促進・緩下・抗結石・免疫調整    ・止血・肝臓庇護作用・消化促進・抗炎症・収斂・血糖降下

アーユルヴェーダにおいてBhumyamlaki(ブーミアーマラキー)は肝臓と胆のうを浄化すると考えられ、急性肝炎と慢性肝炎・胆石に対して優れた効果を持つメディカルハーブといわれています。

胆石は、ほとんど症状が出ないだけで日本人の10人に一人はもっているといわれ、特にコレステロールを多く摂取するようになった近代に、とても増えてきた症状の一つです。

症状が現れたときには、みぞおちに激痛を伴い外科的な手術で胆のうを摘出するのが最も有効な方法とされるくらい服薬による治療が、あまり効果的でないものの一つです。
(さいわい、症状が出る人は割合的には少ないようです。)

また、腎臓結石と違い、他に有効なハーブが少ないですから、Chanca piedra(チャンカピエドラ)=Bhumyamlaki(ブーミアーマラキー)が、
肉食の多い海外ではサプリメントとして非常に人気があるのもうなずけます。

肝炎については後述するとして、Bhumyamlaki(ブーミアーマラキー)は化学物質や薬剤などによる損傷から肝臓を守る点でも注目されています。

苦味 渋味 甘味のラサを持ち、ラクタダートゥーにも親和性があることから想像できる通り湿疹や蕁麻疹などの炎症性の皮膚疾患や胃酸過多や炎症性腸疾患にも有効とされています。

また、免疫力が低下したときに優れた効果を発揮し、HIV、流感、ヘルペスなどのウイルス感染症に有効とされています。

外用としても、皮膚の炎症や眼病に用いられるそうです。

禁忌

キダチコミカンソウには血圧を低下させる作用があることが動物と人体において確認されているので、高血圧や心臓の薬を服用している場合は、摂取前に医師への相談が必要です。
服用薬の調整やモニターが必要となる可能性があります。
低血圧の人も気を付けましょう。

南米などの一部伝統医療では、堕胎薬や生理促進剤として利用することもあるようです。
人体においては確認されていませんが、動物実験レベルでは子宮弛緩作用の裏づけが取られています。よって、妊娠期間中の摂取は禁忌と考えられます。

女性に対する不妊作用があることを確認した動物実験が一つあります。
(実験では投与を中止してから45日後に平常に戻りました。)
ハーブにはゲンダルッサやハイビスカスなど、服用期間中は避妊効果があり、
使用をやめると元に戻るというハーブがいくつかあります。)

ですので、妊娠を望んでいる場合は使用は控えたほうが良いでしょう。

キダチコミカンソウは血糖値を下げる効果が確認されていますので低血糖症の場合、使用は禁忌と考えられます。糖尿病の治療を受けている場合は、お薬の量の調整が必要かもしれません。使用に先立ち医師への相談が必要です。

また利尿作用があることが、動物と人体の両方において確認されています。
利尿作用が好ましくない場合は、使用を控えましょう。

また尿量が多くなるので、長期にわたり慢性的に使用すると、電解質とミネラルバランスが崩れることが考えられますが、これまでに公表されているリポートによると、3ヶ月を超えない範囲での使用では、人体に対し副作用がないと報告されています。

次の場合は使用前に医師に相談してください。

糖尿病がある
血液凝固障害がある
血を薄くする薬を服用する
2週間以内に手術を受ける予定がある
いくつかの異なる薬を服用している

薬との相互作用

インスリン等糖尿病治療薬と相互作用する可能性があります。
『ゲラニン』と呼ばれる植物成分が含まれています。
『ゲラニン』には血圧低下作用があることが動物実験で確認されています。
よって、高血圧薬や心臓病の薬と相互作用する可能性があります。

使い方

キダチコミカンソウは一般的にパウダー、お茶、またはエキスの形で使われています。
アーユルヴェーダではカルカ、スヴァラサ、カシャヤ、チュールナでも使われます。

そして標準化された投与の推奨はありません。

平均投与量は、1日あたり500ミリグラム です。

キダチコミカンソウの飲み方としましては、期待する用途によって若干飲み方が変わります。
肝機能や血液系に対して働きかけたい場合には少量をお湯で溶いて、そこにミルクを入れて飲むのが飲みやすくていいかと思います。
その場合、量は平均500mgくらい。
(もっと少量から初めて、一週間くらいかけて量を増やし、1g(1000mg)くらいまで増やす。)

結石など、ひ尿器系や腎臓への効果を期待したい場合には、煎じるか、お茶のようにするか、粉をお湯で溶いて、そこにコップ一杯くらいの常温のみずをいれて飲みます。
(お口に水を含んで、そこに粉を入れてそのまま飲むのも お手軽でいいです。むせないように気を付けてください)

量的には小さじいっぱいくらい500mg~1500mgが一般的に使われる量です。コミカンソウの摂取に関しては食事の有無は関係ないとされていますので 薄め方は好きなようにして大丈夫です。苦味がきついと感じるようでしたら多めの水またはお湯で薄めて飲まれるのがいいと思います。その際、クミスクチンやツボクサなどのハーブにブレンドしてもいいです。
尿量が増えますので腎臓の浄化や結石には より効果的だと思いますが、夜眠る前は避け、朝、昼に飲まれるのがいいかと思います。

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キダチコミカンソウは現代医学においても様々な実験や研究がなされています。
そのいくつかを紹介させていただきます。
なお、これらの紹介は、キダチコミカンソウというハーブについて、このような研究がされてきたことを紹介するものであって、もだま工房の商品に、このような効果・効能があることを示すものではありません。

1.抗酸化作用  

2014年の試験によると、キダチコミカンソウの葉から作られた抽出物は強い抗酸化活性を示し酸化ストレスの上昇を防止しました。
(体内の細胞の損傷や病気を引き起こすフリーラジカルの捕捉・排出を助けます。)

https://www.hindawi.com/journals/ecam/2014/834815/ 参照

2.抗菌作用

2012年の研究によると、キダチコミカンソウ抽出物は有益な乳酸菌群に対しては影響を与えずに、ピロリ菌に対して抗菌力を持っていることを発見しました。
H.ピロリ菌は消化管でよく見られ、通常は無害です。しかし、場合によっては、消化性潰瘍、腹痛、吐き気を引き起こすことがあります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22034238

3.抗炎症性および胃内抗潰瘍活性

キダチコミカンソウは潰瘍や炎症を治療するために伝統医学で使用されています。
炎症は、乾癬や慢性疼痛などの皮膚の症状を含め、全身に多くの問題を引き起こす可能性があります。
2017年の動物実験によると、キダチコミカンソウは炎症を軽減する可能性を示しました。

研究者らは炎症を引き起こすためにラットの左後肢にカラギーナンを注射しました。
次にラットをキダチコミカンソウ抽出物で処理したところ、炎症が有意に減少しました。
また、ラットにおけるエタノール酸誘発胃粘膜傷害に対して、全ての実験群において
エタノール酸誘発胃浸食の減少を示した。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22034238

4 潰瘍の予防

同じ2017年の動物実験からの調査結果はまた、フィランサスニルリ抽出物が潰瘍の予防に役立つことを示唆しています。胃酸分泌を減らし、胃を保護すると考えられています。
それはまた胃潰瘍に対する強力な抗炎症作用を示した。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5434621/

5. 血糖値を下げる

キダチコミカンソウは糖尿病治療効果が示唆されています。2011年の調査によると、糖尿病ラットにおいて、キダチコミカンソウ抽出物が血糖値を下げ、グルコース食後の血糖値の上昇を抑制し、
ヘモグロビングリケーションを減らし肝臓のグリコーゲン含有量を増やすことを示した。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21323477

6. 腎臓結石を防ぐ

キダチコミカンソウは腎臓結石治療薬として最もよく知られています。
2010年の調査によると、多くの研究がそれが強力な腎臓結石抑制剤であることを
示しています。

キダチコミカンソウは尿路で結石を粉砕する砕石術後の尿管の弛緩を助け、
結石の通過を助けます。
また、結石症の予防、結石の成長の抑制、および尿中への結晶の分散の維持において
重要な利点を構成する可能性があります。

http://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S1677-55382010000600002&lng=en&tlng=en

7. 肝臓 保護作用

2017年の研究によると、キダチコミカンソウは非アルコール性脂肪性肝疾患および
アテローム性動脈硬化症リスクを低下させる。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、インスリン抵抗性、肥満および酸化ストレスと強く相関する、世界的な主要な健康問題の1つです。

研究はキダチコミカンソウがインスリン抵抗性を減らし、肝臓の脂肪酸の量を減らすことを発見しました。
キダチコミカンソウで処置したラットは、未処置ラットよりも有意に低いアテローム性動脈硬化症の指標を示した。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5537880/

2006年の調査では、キダチコミカンソウが、その抗酸化特性を介して
アセトアミノフェン誘発性肝障害に対して保護的な役割を果たした。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16718736

8.急性B型肝炎

キダチコミカンソウは、その抗ウイルス作用と肝保護作用により、急性B型肝炎感染症の治療に役立つ可能性が示唆されています。

2010年の研究では合併症のない急性ウイルス性肝炎患者の60人が、この研究に参加し
60人はプラセボまたはキダチコミカンソウ100ミリグラムを含む
7つの生薬で作られた製品(アシュワガンダ、アルジュナ、キダチコミカンソウ、ダルハリドラー、グドゥチ、胡黄連、ナハカノコソウ)のいずれかを受けました。

生薬群はプラセボ群より速い回復を経験しました。
(しかし、彼らは上腹部の痛みや下痢などの副作用を報告しました。)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3059443/

また動物実験ではキダチコミカンソウはB型肝炎およびウッドチャック肝炎ウイルスに対する効果を示した。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3467354

しかし、キダチコミカンソウは慢性B型肝炎を助けないかもしれません。
プラセボと比較してキダチコミカンソウが慢性HBV感染症の患者に有益であるという説得力のある証拠はない。
しかし、キダチコミカンソウと抗ウイルス薬の併用は、同じ抗ウイルス薬単独よりも優れている可能性があります。

https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD008960.pub2/abstract

9.抗癌作用

キダチコミカンソウは、いくつかの肺癌および乳癌の転移を予防するのを助け得る。
キダチコミカンソウにおけるポリフェノール化合物の存在は、アポトーシス(細胞の自死)誘導の関与と共に、癌細胞の浸潤、遊走、および接着の阻害において極めて重要である。それ故、キダチコミカンソウは、転移性癌の治療における価値ある候補となり得る。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3116853/

2012年の研究ではキダチコミカンソウはヒト結腸直腸上および肝臓癌細胞株の、細胞死を誘導すると結論した。

キダチコミカンソウは2つの癌細胞株に対して選択的に毒性があります。
さらに、シスプラチンとキダチコミカンソウを組み合わせたとき、HT29細胞および
HepG2細胞の両方の細胞死を相乗的に増加させた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3422797/

・・・・以上にあげたのは近年の研究のほんの一部です。
その数があまりに膨大なので、全部を網羅するのが大変なくらいです。

以下のサイトで、これまでに挙げられたキダチコミカンソウの医学論文・レポートの整理が行われています。

『Phyllanthus niruriの薬理学的可能性 』(Phyllanthus niruri=キダチコミカンソウ)

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jphp.12565

その中のカテゴリーだけでも紹介すると・・・

・抗酸化作用と肝保護作用 ・抗糖尿病 - 低血糖作用 ・抗炎症作用、抗侵害受容作用および鎮痛作用・脂質低下作用 ・心臓保護作用 ・血小板凝集阻害および血管弛緩作用 ・創傷治癒および抗潰瘍特性・抗ウイルス活性 ・抗菌作用 ・抗マラリア薬および殺線虫性 ・抗尿路結石活性 ・抗高尿酸血症活性・抗腫瘍活性 ・鎮痙作用 ・免疫調節活性 ・抗健忘性 

 このように全体的な調査結果は豊富な治療の可能性を示唆していますが
キダチコミカンソウの、このような発見は慎重に解釈されなければなりません。
より大きなサンプルサイズ、毒物学的研究、メカニズム研究および分子分析など、
さらに考慮される必要があるとまとめられています。

ですので、個人での使用はあくまでもこれらの予防を目的としたものであるべきで、
疾病の治療に際しては、専門医との相談の上、使用の可否を判断してください。

そして、しつこいようですが、もだま工房の提供するキダチコミカンソウ粉末、およびお茶は、あくまでも食品ですので、治療的効果を期待すべきものではなく、多様な食品をとることによって健康の維持に努めるためのものと、ご理解いただきたく思います。